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ネバダは個人の州所得税ゼロ。でも「日本の口座」が申告の落とし穴になるNevada has no personal state income tax — but a Japanese bank account is the filing trap
最終更新: 2026年7月6日 | 最終確認: 2026年8月1日 | YO-MIDOKORO編集部 | 約7分

タックスリターンは毎年4月。ネバダには個人の州所得税がないぶん、申告は連邦が中心になります。ただし日本に口座や収入がある人には、見落としがちな別の義務があります。骨格を整理しました。
アメリカで働くと、前の年の所得についてタックスリターン(確定申告)が回ってきます。ただし全員に義務があるわけではありません。IRSは「米国で働く米国市民・永住者の大半は申告する」としたうえで、実際の要否は申告区分・年齢・総所得で決まると案内しています。2025年分なら、単身(65歳未満)は総所得$15,750以上で申告が必要。加えて自営業のnet earnings from self-employment(自営業の正味の稼ぎ)が$400以上なら、総所得がその線に届かなくても申告義務が生じます。これはSchedule Cの純利益とイコールではありません。Schedule SEは、対象の自営業所得を集計してから92.35%を掛け(2025年分の様式では4a行で0.9235)、optional methodsを使う場合はそれも足したうえで、合計の4c行が$400未満なら「stop」という構造です。つまりSchedule C上の純利益がちょうど$400でも、通常の計算では約$369となり、この基準には届きません(IRS: Check if you need to file/Topic no. 554。この$400はnet earningsで見た額なので、ちょうど$400のnet earningsなら対象です)。源泉徴収された分を取り戻すために、義務がなくても出す人もいます。ネバダ州には個人の州所得税がないため、申告は連邦が中心。ただし日本に口座やお金を残している人には、別の申告義務があります。この2つを軸に、届く書類から順に整理します。
以下、「課税年」は申告の対象になる年(2025年分なら2025年)、「申告年」は実際に提出する年(2026年)を指します。
まず全体像——4月15日と、届く書類
連邦の確定申告の締切は、原則として課税年の翌年4月15日です。IRSは「15日が土曜・日曜・法定休日にあたる場合は翌営業日まで延びる」と明記しています。郵送で出す人には、もうひとつ救いがあって、期限日までに投函して消印が付いていれば期限内の扱いです(宛先が正しく書かれていることが前提)。その前に、収入を証明する書類が手元に届きます。
- W-2:会社員が受け取る、給与と源泉徴収額の証明。雇用主は課税年の翌年1月31日までに交付・発送する決まり(この日が土日祝に当たると翌営業日にずれます。2025年分は1月31日が土曜のため2026年2月2日)
- 1099:業務委託・ギグワーク・利子配当などの収入。種類によって受取人への交付期限が違い、1099-NECや利子・配当などの多くの1099は1月31日まで、証券会社の1099-B(統合報告書を含む)は2月15日までとIRSが定めています(この日が土日祝に当たると翌営業日にずれます。2025年分は2月15日が日曜、翌16日がPresidents Dayのため2026年2月17日)。「W-2と同じ時期」とひとくくりにはできません。W-2と違い源泉徴収されていないことが多く、その分は申告時の納付や予定納税で自分で調整する
間に合わないときは、延長(Form 4868)で10月15日まで提出を延ばせます。ただし延ばせるのは「提出」だけで、「支払い」は元の期限のまま。税金を納めずに提出だけ延ばすと利息・加算税がつくので、払うべき額は期限内に。
税額計算の出発点になるのが標準控除(standard deduction)。2025年分(2026年に提出する申告)は単身$15,750、夫婦合算$31,500、世帯主$23,625とIRSが案内しています。この額は課税年ごとに変わりますので、自分の課税年の額をIRSで確認してください。ほとんどの人はこの標準控除を使います。
ネバダの大きな利点——個人の州所得税がない
ここがネバダの強みです。ネバダ州には個人所得税がありません。つまり、ネバダ州への個人所得税の申告は不要。カリフォルニアやニューヨークの住民が連邦+州の二本立てで申告するのに対し、ネバダ住民はその一本が要りません(他州に所得や不動産がある人は、その州の申告が必要になることがあります)。ラスベガスに人と企業が集まる理由の1つが、これです。
給与から州税が引かれないぶん、同じ額面でも手取りが増える。生活設計のうえで地味に効く利点です。
落とし穴——「日本の口座・日本の収入」
ここが本題で、一番見落とされるところ。アメリカの居住者(グリーンカード保持者や税務上の居住者)は、全世界の所得が申告対象になります。つまり、日本の給与・家賃収入・利子なども、アメリカの申告に含めるのが原則。「日本のものは日本で完結」ではありません。
さらに、収入と別に「口座の報告」という独立した義務があります。
- FBAR(FinCEN Form 114):日本を含む海外の金融口座の合計残高が、年内に一度でも$10,000を超えたなら報告が必要。これは税金ではなく「報告」で、IRSではなくFinCENのBSA e-Filingに出します。期限は所得税と同じ4月15日ですが、FinCENは「4月15日の期限に間に合わなくても、申請なしで自動的に10月15日まで延長される」と案内しています。これは所得税の提出期限を延ばすForm 4868の延長とは別枠の自動延長で、FBAR側で改めて手続きする必要はありません。注意は「合計」であること——たとえば日本の普通預金$6,000と定期$5,000で、合わせて$11,000なら対象。口座ごとではなく合計で数えるので、日本に預金や退職金を残している人は、一度合算して確認してください
- Form 8938(FATCA):より広い海外資産が対象で、基準額はFBARより高め。米国内に住む納税者の場合、単身・夫婦別申告は「年末の残高が$50,000超、または年中に一度でも$75,000超」、夫婦合算申告は「年末$100,000超、または年中$150,000超」とIRSが定めています(国外居住者はさらに高い基準額。詳細はIRSの比較表)。両方に該当することもあり、FBARと8938は別物(どちらかを出せば済む、ではない)
二重課税は、制度上の調整があります。日本で税を払った所得には外国税額控除(Form 1116)が使える場合があり、日米は租税条約も結んでいます(IRS: Foreign Tax Credit)。なお「海外勤労所得の除外(Form 2555)」という制度も耳にするかもしれませんが、これは海外に生活拠点を置いて働く人向けの制度で、ラスベガスに住む人が日本の口座の利子や家賃収入に使えるものではありません。要は「日本の分も申告したうえで、控除と条約で調整する」設計です。どこまで調整できるかは所得の種類と個別の条件で変わるので、結果は人によって違います。ただし申告しないこと自体がペナルティの対象で、特にFBARの不提出は重い。ここは軽く見ないでください。
まず押さえる順番
- 書類を待つ:W-2と多くの1099は1月31日までに交付される(土日祝に当たると翌営業日にずれ、2025年分は2026年2月2日)。ただし1099-Bと証券会社の統合報告書は2月中旬(同2月17日)。交付期限であって到着日ではないので、自分に該当する最終版が揃ってから申告する
- ネバダへの個人所得税の申告は不要:申告は連邦が中心
- 日本の口座を数える:海外口座の合計が$10,000超ならFBAR。税金と別枠の報告義務
- 日本の収入も申告に含める:外国税額控除・条約で調整できる場合がある
- 締切は原則4月15日、延ばせるのは提出だけ
最後にひとつ。税は個々の状況(在留資格・収入源・家族構成・日本の資産)で大きく変わり、ここは制度の骨格の説明です。特に日本の口座・収入・不動産がある人、初年度の人は、国際税務に強いCPA(会計士)に一度見てもらうのが安全です。相談料以上に、申告漏れの追徴やFBARの罰則を避けられる価値があります。
次回は、いつかの「出口」の話。本帰国・退去の手続き——解約、送金、口座や401kの扱い、子どもの転学まで、帰る前にやることを順にまとめます。
※この記事は一般的な情報提供です。 個別の医療・法律・税務・移民・保険・金融に関する助言ではありません。制度・料金・要件は変わることがあり、実際の手続きや判断の前に、医師・弁護士・CPA(会計士)・各公式窓口など専門家にご確認ください。