交通 →Traffic → 今週号:This issue: 2026年8月3日(月)

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ベガスの日本米、コシヒカリはどれ?——銘柄の見分け方と、硬水での炊き方Which Japanese rice in Las Vegas is Koshihikari? — reading the bag, and cooking it in hard water

同じ「日本米」でも、品種と産地で口当たりは変わる(イメージ)
同じ「日本米」でも、品種と産地で口当たりは変わる(イメージ)

日系スーパーの米棚には何種類も並び、値段は倍近く違う。どれが日本の「あの味」に近いのか。そしてラスベガスの水道水はかなり硬い——同じ米でも、炊き方で変わります。

日系スーパーの米棚の前で、最初は誰もが少し固まります。袋のデザインはどれも似ていて、日本語と英語が混ざっていて、値段は安いものと高いもので倍近く違う。錦、Kokuho Rose、田牧、Botan——名前は聞いたことがあっても、何が違うのかは書いていない。

先に結論を書きます。毎日の食事なら錦(Nishiki)かKokuho Roseで十分。日本の「あの味」に近づけたいなら、袋に「Koshihikari(コシヒカリ)」と書いてあるものを探す。 まずはこの二方向で考えると、棚の前で絞りやすくなります。

定番の米は、実はカリフォルニア生まれ

意外に思うかもしれませんが、アメリカの日系スーパーで一番よく見る銘柄の多くは、日本から輸入した米ではありません。カリフォルニアで作られた「日本式の米」です。

Kokuho Roseは1960年代にカリフォルニアで生まれたと紹介されています。錦(Nishiki)もカリフォルニア産の中粒米で、メーカー公式サイトでは40年以上の歴史を持つブランドとして紹介されていますが、誕生年そのものは公式に確認できませんでした。さらに古いCalrose(カルローズ)は1948年、カリフォルニア稲作試験場(California Rice Experiment Station)の研究者ジェンキン・ジョーンズとローレン・デイビスが発表した中粒品種で、今も多くの日系レストランがこれを使っています。

ややこしいのは、袋に大きく書かれた名前が商品名(ブランド)なのか品種名なのか、表記だけでは見分けにくいこと。「Koshihikari」のように品種名が併記されていれば手がかりになりますが、そうでない銘柄は、粒の大きさ(短粒・中粒)の表示で見当をつけるのが現実的です。

だから「輸入じゃないなら味が落ちるのでは」と身構える必要はありません。日系のコミュニティや企業が「日本の米が食べたい」という思いで長年育ててきた系譜で、日常のごはんには十分おいしい。値段も手ごろで、多くの日系・アジア系スーパーで見かけます。まず一袋、という時の安心な選択です。

「あの味」を狙うなら、品種を見る

もう一歩、日本で食べていた炊きたてに近づけたい人へ。鍵は品種です。日本で最も人気の品種はコシヒカリで、粘りと甘みのバランスがいわゆる「日本のごはん」の基準になっています。

アメリカでこれを探すなら、田牧ゴールド(Tamaki Gold)が入りやすい一本です。コシヒカリ品種で、日本資本の会社が窒素を充填した袋で鮮度を保って売っている、と説明されています。ほかに玉錦(Tamanishiki)などのプレミアム短粒も、こだわり層の定番として挙がります。価格は定番銘柄より一段上がりますが、「週末だけはいい米で」という使い分けをする家庭は多い。

錦やKokuho Roseは中粒寄り、田牧ゴールドはコシヒカリの短粒——この違いが、粘りと粒立ちの差になって出てきます。どちらが上ということではなく、好みと用途の問題です。

銘柄の早見表

銘柄系統味の傾向価格帯こんな人に
錦 Nishikiカリフォルニア・中粒くせがなく万能$毎日の主食・最初の一袋
Kokuho Roseカリフォルニア・中粒やや柔らかめ$日常用・寿司にも
Calroseカリフォルニア・中粒あっさり$丼・カレー・大量に炊く日
田牧ゴールド Tamaki Goldコシヒカリ品種粘りと甘み$$「あの味」に近づけたい人
玉錦 Tamanishiki 等プレミアム短粒もっちり濃い$$$特別な日・炊きたて重視

※価格帯は目安($=手ごろ〜$$$=プレミアム)です。同じ銘柄でも店ごとに幅があり、特売で上下します。よく買う銘柄が決まったら普段の値段を覚えておくと、「これは本当に特売なのか」が判断できます。店の選び方は日本の食材が買える店買い物図鑑にまとめてあります。

ここからがベガス——水が硬い

銘柄を選んだら、次は水です。これがラスベガスならではの話。

ラスベガスの水道水は、水道局(LVVWD)自身が硬度291ppm(17グレイン/ガロン)、区分は"very hard"(非常に硬い)と公表しています(同じページには別の数値も併記されていて、公式内で表記が揃っていません)。原因はカルシウムとマグネシウムで、ミネラルの多いコロラド川からレイクミードに運ばれてくるもの。水道局は「健康上のリスクはない」と明記していますが、料理には影響します。

ただ、米に関しては神経質になりすぎなくて大丈夫です。ごはんは硬水の影響が比較的小さい食品とされていて、出汁や昆布のうまみ抽出ほどには水の硬さが響きません。米の種類や炊飯条件によっては、硬水で食感がわずかに変わる場合があります。

差を出したいなら、研ぎ水と炊飯水を分けて考えるのが効率的です。手順にすると、こうなります。

  1. 最初のすすぎ——米が水をいちばん吸う一回目。塩素やミネラルの匂いが気になるなら、ここだけろ過水にする
  2. 途中のすすぎ(2〜4回目)——捨てる水なので、水道水で構いません
  3. 最後の浸水と炊飯——ここは炊き上がりに直結します。ただし、冷蔵庫やポットの活性炭フィルターはカルシウム・マグネシウムをほとんど除去しないため、硬度そのものを下げる目的には向きません。硬度を下げたいなら、低ミネラルのボトル水か、逆浸透膜(RO)・イオン交換式軟水器を通した水を使います

全部をボトル水でやる必要はありません。気を配るなら、最初の一杯と、炊く直前の水。ここだけボトル水に替えるやり方が、手間と量のバランスが取りやすい。ただし水の硬さと炊き上がりの関係を測った公的なデータは見つけられませんでしたので、ここは編集部の提案として読んでください。まず1回、いつもの水と替えた水で炊き分けて、違いが分かるかを確かめるのが早いです。

無洗米と、砂漠での保存

研ぐ手間を省きたい人には無洗米(rinse-free)という選択もあります。硬水のベガスでは「最初から良い水で炊く」と割り切れるので、実は相性がいい。ただし銘柄の選択肢は研ぐタイプより少なめです。

保存も、この土地ならではの注意があります。ラスベガスは極端に乾燥していて夏は高温。米は生鮮品に近く、暑さと酸化で味が落ち、まれに虫がつくこともあります。常温の袋のまま長く置かず、密閉容器に移して冷暗所か、夏場は冷蔵庫の野菜室へ。まとめ買いよりも、食べきれる量をこまめに、のほうが結局おいしく食べられます。


日本の米は、ラスベガスでもちゃんと手に入ります。銘柄で「日常か、あの味か」を選び、炊く直前の水だけ気にかける。この2つで、家の食卓は驚くほど日本に近づきます。

次回は、その米に合わせる醤油・味噌・みりんの選び方を——本みりんと「みりん風」の違い、料理酒とcooking wineの落とし穴まで、品目ごとに掘り下げます。

編集メモ:銘柄・品種の系譜はJust One Cookbook、America's Test Kitchen、Oishii Desu の各解説で、水の硬度はLas Vegas Valley Water DistrictおよびKTNV報道で、2026年7月に確認しました。硬度291ppm(17グレイン/ガロン・"very hard")は、2026年7月26日にLVVWD公式の水質FAQで一次確認しました。2026年7月27日、Calroseの誕生年と開発者をUSA Rice Federationの記事(1948年、カリフォルニア稲作試験場のJenkin Jones・Loren Davisが発表。usarice.com/news-and-events/publications/usa-rice-daily/article/usa-rice-daily/2018/09/04/annual-california-field-day-heralds-70th-anniversary-of-calrose)で修正し、錦(Nishiki)の「1981年誕生」説はJFC公式サイト(jfc.com/rice-expert/nishiki、jfc.com/rice-expert-40th)で裏付けが取れなかったため年の記載を外しました。同日、EPA公式(epa.gov/sdwa/overview-drinking-water-treatment-technologies)とLVVWD水質FAQで、家庭用の活性炭フィルターは硬度(カルシウム・マグネシウム)を除去しないことを確認し、硬水対策の記述を修正しています。全米での順位は公式に記載がないため載せていません。各銘柄が商品名か品種名かは、一次資料での裏取りが済んでいません。銘柄名は市内の日系・アジア系スーパーで一般的に流通しているものを挙げていますが、各店の在庫・価格は変動します。実際の取り扱いは店頭でご確認ください。


※この記事は一般的な情報提供です。 価格・在庫・取り扱いは店舗や時期によって変わります。実際の購入前に店頭でご確認ください。
出典クリックで開く
Just One Cookbook / America's Test Kitchen / Oishii Desu(銘柄・品種)、Las Vegas Valley Water District・KTNV(水の硬度、2026年7月確認)。2026-08-02の監査検収で、硬水対策の効果を断定から提案に改めた=ラスベガス水道局(LVVWD)の水質ページを筆者自身が読み、"The hardness of our water is 291 parts per million or 17 grains per gallon, categorized as “very hard.”" を確認(同ページには別の設問の下に「280 parts per million or 16 grains per gallon」という数字も併記されており、公式内で表記が揃っていない)。一方、「最初のすすぎと炊飯水だけ替えれば味が改善する」「途中のすすぎは水道水でよい」という手順と効果は、同ページにも他の一次資料にも記載が無い。再現性が確立した事実のように書いていたため、編集部の提案であることと、自分で炊き分けて確かめる導線に改めた

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