交通 →Traffic → 今週号:This issue: 2026年8月3日(月)

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醤油・味噌・みりん——本みりんと「みりん風」を、瓶の裏で見分けるSoy sauce, miso and mirin — telling real mirin from mirin-style seasoning by the back of the bottle

調味料の棚(イメージ)。同じ名前でも中身が違うので、見分けるのは瓶の裏の原材料表示
調味料の棚(イメージ)。同じ名前でも中身が違うので、見分けるのは瓶の裏の原材料表示

アメリカのスーパーで「mirin」を買って、家の照り焼きがなぜか決まらない。原因は、たいてい瓶の裏に書いてあります。基本の三本+だしを、失敗しない選び方で。

日本米を選んで、硬水対策で炊いた。次はおかずの味付けです。ここで多くの人が1つの壁にぶつかります。アメリカのスーパーで「mirin」と書かれた瓶を買って家で使うと、日本で作っていた照り焼きや煮物が、なぜか同じ味にならない。

犯人は、たいてい瓶の裏の原材料表示にいます。名前は同じでも、中身が別物のことがある。基本の三本——醤油・味噌・みりん——と、だし。それぞれ「これを避ければ大きく外さない」というポイントだけ押さえておきます。

先に結論。みりんは「本みりん」を狙う。醤油は標準的な濃口を一本。味噌は白か合わせから始める。 この三つだけで、家庭料理の味はぐっと安定します。

みりん:ここが一番の落とし穴

みりんは、大きく三つに分かれます。国税庁がまとめた資料によると、①本みりん ②みりん風調味料 ③発酵調味料(みりんタイプ)です。見分けないと損をするのはここです。

本みりん(hon mirin)は、もち米・米こうじ・焼酎(またはアルコール)を原料に、20〜30℃で40〜60日ほど「糖化・熟成」させた酒類調味料です。国税庁の資料は「もろみ中でのアルコール発酵は起こらない」と明記していて、含まれるアルコール度数(約14%)は発酵で生まれたものではなく、原料に使う焼酎そのものに由来します。糖分は45%前後で、塩は入っていません。照りと上品な甘み、コクは、これでないと出しにくい。

一方、アメリカのスーパーで手に取りやすい「aji-mirin」やみりん風調味料は、国税庁の定義では「アルコール分が1%未満で、水あめ、米こうじ、うま味調味料などをブレンドして製造される」もの。もうひとつ、発酵調味料(みりんタイプ)という区分もあり、こちらはアルコール発酵と糖化・熟成の両方の工程を経たうえで、飲めないように塩を加えたもの(本みりんに塩を1.5%以上足したような成分のものが多いとされます)です。どちらも酒税法上の酒類にはあたりません。

見分け方は、塩の有無だけに頼らないほうが安全です。商品名の「本みりん/hon mirin」の表示、原材料名、アルコール度数(本みりんはおおむね14%前後)をあわせて確認してください。本みりんはアルコールが高いぶん酒類として扱われ、置いている店が限られます。日系スーパーの酒・調味料棚で探すのが早い。「風」や発酵調味料タイプしかない日は、レシピの塩気を少し引いて調整すると近づきます。

料理酒は、清酒タイプと調味料タイプがある

もうひとつの罠が「cooking wine」。棚に並んでいると清酒(sake)の代わりに見えますが、多くは塩や添加物が入った調味料で、そのまま料理酒として使うと塩辛くなりがちです。

ただし「料理酒」という言葉自体、日本でも一枚岩ではありません。キッコーマンなど大手メーカーは、食塩無添加の清酒タイプ(酒税法上は酒類)と、飲めないよう塩を加えた発酵調味料タイプ(酒税法上は調味料)の両方を「料理酒」として売っています。アメリカの「cooking wine」の多くは、米ではなく他の原料を使った、後者に近い調味料タイプと考えるとわかりやすいでしょう。

家に清酒があるなら、塩の入っていない飲用の清酒を料理に回すのが確実です。原材料表示に「食塩」がなければ清酒タイプ、あれば調味料タイプと見分けられます。みりんを切らした日は、清酒 大さじ1に砂糖 小さじ1を混ぜると、みりんに近い甘みとコクの代用になります。

醤油:標準的な濃口を一本、種類だけ知っておく

醤油は、難しく考えなくて大丈夫です。日本で使われている醤油の大半は濃口(koikuchi)で、アメリカで普通に売っているキッコーマンなどの標準品も、表示はなくてもこの濃口にあたります。まずこれ一本で困りません。

安心材料を1つ。キッコーマンはアメリカにも工場があり、米国で作って売っている製品には「Traditionally Brewed(本醸造)」と表示されています。これは日本の醸造法に沿って作られた印。現地製でも、製法は日本と同じ流れです。

覚えておくと便利なのが薄口(usukuchi)。名前は「薄い」ですが、これは色が薄いという意味で、塩気はむしろ濃口より強い。お吸い物や炊き込みご飯など、素材の色を濁したくない料理に使います。濃口のつもりで薄口をどぼどぼ入れると塩辛くなるので、そこだけ注意。

味噌:分け方は1つではない

味噌は、色だけで単純に語れる調味料ではありません。みそ健康づくり委員会の資料によると、味噌は原料の麹(米みそ・麦みそ・豆みそ・調合みそ)、味(甘口〜辛口。塩の量と麹歩合で決まる)、色(白・淡色・赤)など、複数のものさしで分類されます。

色の違いは主に発酵・熟成にかける期間の長さで決まり、期間が長いほど色は濃くなります(大豆を蒸すか煮るか、麹の配合量なども影響します)。ただし色が濃い=塩辛いとは限りません。同資料の目安表では、赤系統でも甘口タイプの塩分は白系統の甘口タイプと同程度(いずれも5%台)で、辛口の赤みそだけが塩分12%前後まで上がります。「赤は必ず白より塩辛い」とは言い切れない、というのが実情です。

  • 白味噌(shiro):発酵期間が短く、麹歩合が高め・塩少なめで、軽くて甘い。クセがなく使いやすい
  • 赤味噌(aka):発酵期間が長いぶん色が濃く、一般に塩気とコクが強い製品が多い。寒い日の力強い味噌汁や煮込みに向く
  • 合わせ味噌(awase/調合みそ):異なる2種類以上の味噌を合わせたもの。白と赤の組み合わせに限らず、米みそ+豆みそ、米みそ+麦みそなど組み合わせはさまざまです

初めての一個なら、白か合わせが扱いやすい。日々の味噌汁から西京焼き風まで幅広く使えます。赤は、好みが固まってから二個目に、で十分です。

だし:ベガスの水では、ここに一工夫

味付けの土台がだしです。手軽さで言えば、顆粒だし(ほんだし等)やだしパックが手軽で、味も安定しやすい。かつお節や昆布から引くのも、もちろんおいしい。

ただ、前回書いたようにラスベガスの水道水はかなり硬いので、これがだしには少し関わります。昆布のうまみ(グルタミン酸)は軟らかい水のほうが出やすいとされ、硬水だと昆布だしが思ったより淡くなることがある。米は硬水の影響が小さかったのですが、昆布だしは逆に響きやすい。

難しく考える必要はありません。昆布だしをしっかり効かせたい日は、浸す時間を長めにするか、浄水・ボトルの水を使う。かつおだしや顆粒だし・だしパックは、昆布だしほど水の硬さを意識せずに使えます。普段はこちらで十分です。だしの深掘りは、また回を改めて。

買うべきものの早見表

品目まずこれ避けがちな罠価格帯
みりん本みりん(アルコール度数14%前後、原材料に塩なし)みりん風(アルコール度数1%未満)/発酵調味料タイプ(不可飲処置で塩入り)$〜$$
料理酒食塩無添加の清酒タイプ(原材料表示で確認)塩・添加物入りの調味料タイプ/cooking wine$〜$$
醤油標準的な濃口(キッコーマン等)薄口を濃口の量で使う$
味噌白 または 合わせ辛口の赤は塩気が強めな製品が多い$〜$$
だし顆粒だし・だしパック硬水で昆布だしが淡くなる$

※価格帯は目安($=手ごろ〜$$$=プレミアム)で、店や特売で上下します。どの店で揃うかは日本の食材が買える店買い物図鑑を参照してください。本みりんや飲用清酒は酒類扱いのため、取り扱いのある店が限られます。


味が決まらない原因は、腕ではなく「瓶の裏」だったりします。みりん風調味料や発酵調味料タイプが粗悪という話ではなく、本みりんとは製法と用途が違うということ。みりんは原材料表示とアルコール度数、料理酒は食塩の有無、味噌は白か合わせ、だしは水にひと工夫。この四つを押さえるだけで、ベガスの台所は日本の味にぐっと寄っていきます。

編集メモ:2026年7月26日の外部レビューを受け、2026年7月27日にみりん・料理酒・味噌の記述を国税庁「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り」調査報告(本みりんの製造法・分類)、みそ健康づくり委員会『みそを知る』(みその分類)、キッコーマン公式製品ページ(料理酒の2タイプ)で当て直しました。具体的には、(1) 本みりんを「もち米を発酵させた米ワイン」としていた記述を、「もち米・米こうじ・焼酎(またはアルコール)を原料に糖化・熟成させた酒類調味料で、もろみ中でのアルコール発酵は起こらない」に訂正。(2) みりんを「本みりんと味みりんの2種類」としていた区分を、国税庁の資料に沿って本みりん・みりん風調味料・発酵調味料(みりんタイプ)の3区分に修正し、「塩の有無だけで判別」という説明を外しました。(3) 料理酒を「日本の料理酒とcooking wineは別物」と単純化していた記述を、キッコーマン自身が食塩無添加の清酒タイプと塩添加の発酵調味料タイプの両方を「料理酒」として販売している実例に沿って修正。(4) 味噌の「白=短期熟成・低塩/赤=長期熟成・塩辛い」という固定的な説明を、みそ健康づくり委員会の資料(色の違いは主に熟成期間の長さで決まり、赤が必ず白より塩分が高いとは限らない)に沿って修正し、合わせ味噌も「白+赤」に限らないと明記しました。醤油・だしの記述は今回変更していません。濃口が日本の醤油に占める割合、白味噌の発酵期間の具体的な日数は、業界団体の一次資料では裏を取れていません。商品名は一般に流通するものを例示していますが、各店の在庫・価格・酒類の取り扱いは変動します。実際の品揃えは店頭でご確認ください。


※この記事は一般的な情報提供です。 価格・在庫・取り扱いは店舗や時期によって変わります。実際の購入前に店頭でご確認ください。
出典クリックで開く
国税庁「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り」調査報告(本みりんの製造法・分類)/ みそ健康づくり委員会『みそを知る』(みその分類)/ キッコーマン公式製品ページ(料理酒の2タイプ)/ Just One Cookbook・Uwajimaya ほか(2026年7月26日の外部レビューを受け、2026年7月27日にみりん・料理酒・味噌を一次資料で再確認)。2026-08-02の監査検収で、早見表がみりん風調味料と発酵調味料(みりんタイプ)を一体化していたのを分けた=国税庁の調査報告を筆者自身が読み、"みりん風調味料は、アルコール分が1%未満で、水あめ、米こうじ、うま味調味料などを原料としてブレンドして製造される。みりんタイプの発酵調味料は、アルコール発酵と糖化・熟成の両方の工程を持ち、食塩を加えて不可飲処置をしたもので、本みりんに 1.5%以上の塩を加えたような成分のものが多い。" を原文確認。食塩の添加が説明されているのは発酵調味料(みりんタイプ)のほうで、旧稿の表は両方が塩入りのように読めた。なお、みりん風調味料に塩が入っていないとまでは国税庁資料に書かれていないため、表にも「塩なし」とは書いていない

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