交通 →Traffic → 今週号:This issue: 2026年8月3日(月)

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アメリカから日本へ——「肉エキス入り」の線引きが表になった。スープの素やカップ麺は条件つきで「指定外」US to Japan — Japan has published a table for meat-extract foods, so soup bases and instant noodles can now qualify

日本へ持ち帰る場合の話。コンソメ・だし・カップ麺——基準を満たす場合に限り、検疫対象外になり得る(イメージ)
日本へ持ち帰る場合の話。コンソメ・だし・カップ麺——基準を満たす場合に限り、検疫対象外になり得る(イメージ)

アメリカから日本へ帰るときの話です。ビーフジャーキーがダメなのは変わりません。2026年7月1日、動物検疫所が「指定外基準」を公開し、固形の肉が見えないエキス・スープの素・レトルトなどをどう扱うかが、初めて表で読める形になりました。動物検疫所自身は「リスクに応じて行っている現行の対応を明文化」したものだと説明しています——新しく緩くなったのではなく、見えるようになった、が正確です。あわせて、違法に持ち込まれた肉製品等は、国内での販売だけでなく販売目的での加工・貯蔵・陳列にも罰則が及ぶことになりました。

帰省土産の相談でいちばん多いのが、この質問です。「コンソメは? だしは? カップ麺は?」——肉そのものではないけれど、肉のエキスが入っている食品。建前の上では、こうした加工品も動物検疫の対象でした。どこまでが対象なのかが表で示されていなかったので、「エキス入りだから」と諦めるか、判断がつかないまま持っていくかになりがちでした。

向きを先に。この記事は、アメリカから日本へ帰るときに、日本の空港(動物検疫所)で受ける検査の話です。日本からアメリカへ日本食などを持ち込むときは別のルールなので、逆方向お土産の双方向リストへ。

その線引きが、2026年7月1日に表で公開されました「この日から急に緩くなった」わけではありません——動物検疫所の説明資料は、指定外基準について「リスクに応じて行っている現行の対応を明文化」したものだと書いています。今まで窓口の判断だった線が、文書になって読めるようになった、というのが実際のところです。

何が変わったのか

動物検疫所が「指定外基準」という新しい基準を公開しました(動物検疫所:指定外基準・2026年7月1日付 8動検第252号)。流れはこうです。

  1. 家畜伝染病予防法の一部が改正(2026年5月19日公布)。検疫を受けずに持ち込まれた肉製品等は、輸入だけでなく国内で販売した場合や、販売目的で加工・使用・調理・貯蔵・陳列した場合にも罰則(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)が適用されることになった
  2. 2026年7月1日の規則改正で、「肉などに由来する畜産物は加工品を含めて検疫対象」と明確化。そのうえで、製造工程からみて病原体を広げるおそれがないことが明らかなものは対象から除外されると明記された
  3. その「除外されるもの」の具体的な基準が、指定外基準として一覧公開された

つまり、対象の範囲を厳格化しつつ、「ここまでは大丈夫」の線を具体的な表で示した、という変更です。

在住者の帰省土産に効くところ

基準は60項目ありますが、私たちの荷物に関係するのは主にこのあたりです(具体例は動物検疫所の公開基準から)。

先に注意を2つ。ひとつ、「指定外=検疫がまったく要らない」ではありません。指定外は「指定禁止物・指定検疫物以外として扱われる」という意味で、動物検疫所の資料は「指定外であっても輸入検査が必要なものがあります」と明記しています。ふたつ、基準に当てはまることを証明するのは持ち込む側です。同資料は「指定外基準に該当することが確認できない場合は、当該品を指定検疫物として取り扱うことがあります」としています。製品の箱や成分表を捨てずに持っていくのが実務上の備えになります。

区分指定外になり得る例主な条件
エキス類ビーフ/ポーク/チキンエキス、スープストック、エキスパウダー加熱条件まで含めて決まります。骨・肉・皮を1時間以上煮沸(同等以上の湿熱処理を含む)したうえで、ろ過や遠心分離で目に見える固形物を除いたもの。または固形物を除いたあとに100℃以上で10分以上加熱したもの(基準14・15)
調味料スープの素、コンソメ、調味液、フレーバー肉・臓器・脂肪の固形物が認められず、そのまま使える最終形態であること(基準21)
缶詰・瓶詰・レトルトレトルトパウチ食品、トレー入りレトルト気密容器に密封後、中心部までF0値3以上で加圧加熱殺菌するなど、工業的な製造条件を満たすこと(基準3・4)
即席食品の具カップ麺・カップ焼きそばの乾燥具鍋などで加熱調理せず、湯を注ぐだけで完成する製品に限ります(鍋で煮るタイプはこの基準に当てはまりません)。具が乾燥していて、工業的に製造されたものであること(基準31)
卵の加工品固ゆで卵・皮蛋・卵焼き・ケーキ・菓子/マヨネーズ・カスタード・アイスクリーム条件は2本立てです。前者は卵たんぱくが完全に凝固変性していること(基準41)。後者は別基準で、卵が重量でいちばん多い原料ではないこと(基準42)
乳製品LL牛乳/ヨーグルト/プロセスチーズ品目ごとに別の基準です。LL牛乳は常温保存可能品(基準47)、ヨーグルトは発酵乳(基準49)、プロセスチーズはHSコード04.06のプロセスチーズ(基準51)。どれにも当てはまらなくても、販売や営業に使う目的でなく10kg以下なら別枠で対象外になり得る(基準55・飼料用は除く)

一方、変わっていないものもはっきりしています。肉そのもの——ジャーキー、サラミ、ハム、肉まんなど——は従来どおりで、輸出国政府の検査証明書がなければ持ち込めません。無申告で見つかれば300万円以下の罰金または3年以下の拘禁刑という罰則も従来どおりです(動物検疫所:肉製品などのおみやげについて)。

「基準を満たせば」の重さ

ここがこの制度のいちばん大事なところです。表の品目名に当てはまっても、自動的にOKにはなりません

  • 条件は製法と包装で決まります(加熱の強さ、固形物の有無、密封の仕方など)。見た目やパッケージからは判別できないことがあります
  • 該当するかを判断するのは検疫所です。確認を求められたら、基準に該当することを示す書類等を提示するよう求められます
  • 基準そのものも「専門家の意見を踏まえ、適宜見直す」とされています。次の帰国のときには最新の基準を確認してください

だから公式の手順はこうです。当てはまるか分からないものは、持ち込む前に動物検疫所へ相談する。成分表や製造工程の資料を添えて事前に相談することが、輸入者の責務として明記されています。相談しないまま空港に着いたら、申告して検疫所の判断に従う。「エキス入りだから全部ダメ」と諦める必要はなくなりましたが、「エキス入りなら申告不要」になったわけでもありません。

なお今回の改正で新しく罰則がついたのは、検疫を受けずに持ち込まれた肉製品等の国内での販売と、販売目的での加工・使用・調理・貯蔵・陳列です(家畜伝染病予防法44条の2)。個人が無申告で持ち込んだときの罰則は従来どおりです。

持ち込み規制の全体像——日米双方向の「ダメ/条件つき/だいたい平気」——は、お土産の双方向リストにまとめてあります。あわせてどうぞ。


※この記事は一般的な情報提供です。 個別の医療・法律・税務・移民・保険・金融に関する助言ではありません。制度・料金・要件は変わることがあり、実際の手続きや判断の前に、医師・弁護士・CPA(会計士)・各公式窓口など専門家にご確認ください。
出典クリックで開く
農林水産省 動物検疫所(指定外基準・2026年7月1日付 8動検第252号)/肉製品などのおみやげについて(いずれも2026年7月24日確認)。2026年7月31日に動物検疫所の説明会資料(maff.go.jp/aqs/topix/pdf/shiteigaisetsumeikai20260624.pdf・令和8年6月24日版)の原文で再確認=(1) 指定外基準は「リスクに応じて行っている現行の対応を明文化」したものと明記されており、この日から新たに規制が緩和されたわけではない、(2)「指定外であっても輸入検査が必要なものがあります」と明記、(3)「輸入したものが指定外基準に該当していることを証明するのは輸入者」「該当することが確認できない場合は指定検疫物として取り扱うことがある」、(4) 規則第45条の改正でむしろ「第1号から第5号までの物を原料とする加工品」が指定検疫物として明記され、対象範囲は明確化・拡張されている

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