生活実用Practical living
履歴書に写真も年齢も書かない——ベガスで働き始める前に知ることNo photo and no age on your resume — what to know before you start working in Las Vegas
最終更新: 2026年7月6日 | 最終確認: 2026年8月2日 | YO-MIDOKORO編集部 | 約7分

日本の就活の常識は、こちらでは通じないどころか逆効果になることがあります。レジュメの作法、チップで変わる時給、そして「働ける資格」の壁。順に整理しました。
ラスベガスは、観光とサービス業で回っている街です。ホテル、レストラン、カジノ、イベント——日本語話者にも入り口の広い仕事が多い。ただし、働き始めるまでの作法が日本とまるで違います。日本の就活のクセをそのまま持ち込むと、書類の段階でつまずくことすらあります。順番に見ていきましょう。
アメリカのレジュメには、通常書かないものがある
日本の履歴書と一番違うのがここ。アメリカのレジュメには、顔写真・年齢・生年月日・性別・配偶者の有無・国籍を書きません。これはマナーの問題ではなく、それらが雇用差別の温床になりうるから。雇う側も、これらを応募者に尋ねること自体が法的リスクになります。日本の感覚で証明写真を貼ると、むしろ「アメリカの採用を分かっていない人」に見えてしまう。
書き方の基本はこうです。
- 長さ:キャリア初期なら1ページ、経験があっても最大2ページ
- 構成:新しい職歴から順に並べる「逆時系列(reverse-chronological)」が主流
- 中身:職務要約→職歴→学歴→スキルの順。実績は数字で(「売上を15%改善」のように)
- 見た目:フォントは10〜12pt、装飾は最小限、書体は1種類。奇をてらわない
- 含めないもの:SSN、生年月日、婚姻状況、写真、国籍
近年はATS(応募書類の自動選別システム)を使う企業が増えています。求人票に出てくる言葉(求められるスキルや資格の名前)を、レジュメの中に自然に入れておくと通過しやすい。応募先の求人票に合わせて、具体的なスキルを前に出すのが効きます。
時給の仕組み——ネバダはチップ文化が有利
ここはベガスで働くなら知っておくと得をします。多くの州では、チップをもらう職種(サーバーなど)の最低時給は、チップ前提で低く設定されています。ところがネバダは違う。
ネバダの最低賃金は、2024年7月1日から時給$12.00です(州労働長官室)。それまでは「勤務先が健康保険を出していれば低いほう」という二段階制でしたが、2022年11月の住民投票(Ballot Question 2)でこの二段階が撤廃され、$12.00に一本化されました。勤務先の保険の有無で最低ラインが変わることは、もうありません。
そしてチップを理由に時給を下げることが法律で禁じられている——つまりチップは$12の「上乗せ」になります。ベガスの接客業は、この構造のぶん収入を見積もりやすい。
| 項目 | ネバダ |
|---|---|
| 最低時給 | $12.00(2024年7月1日〜) |
| チップ職の扱い | $12.00を満額+チップは上乗せ |
| 地域差 | なし(クラーク郡・ラスベガス市も同じ) |
適用される労働者の範囲、例外の有無、今後の改定予定は、ネバダ州労働長官室の現行の案内でご確認ください。業種や雇用形態によって扱いが違う可能性があります。
チップの相場は業態で違いますが、飲食の接客なら会計の15〜20%が一般的(着席で給仕が付く店なら18〜20%が目安です)。土台の$12が守られたうえでこれが乗るので、繁盛店ほど収入は大きくなります(税や控除を引く前の総支給額の話です)。
一番の関門は「働ける資格」
レジュメより時給より、実は最初に確かめるべきなのがこれ。米国で合法的に働くには「就労資格」が要る。国籍に関係なく、雇用主は新規採用者全員にForm I-9で身元と就労資格を確認する義務があります。期限は、自分の分と雇用主の分で違います。
- あなたがやること — 就業開始日までにSection 1(自己申告部分)を記入
- 雇用主がやること — 就業開始から3営業日以内にSection 2(書類確認部分)を完了(雇用期間が3営業日未満なら初日までに)
起算日は「賃金の発生する初日」です。USCISは「月曜に働き始めたなら木曜まで」と例示しています。だから初日には、身分証と就労資格を示す書類を持っていってください。
I-9で提示する書類は、従業員本人が選びます。身元と就労資格の両方を1枚で証明するList Aの書類(米国パスポート、永住者カード、EADなど)を1点出すか、身元を証明するList Bの書類(運転免許証など)と就労資格を証明するList Cの書類(社会保障カードなど)を組み合わせて出すか、どちらでも構いません。雇用主が「EADを持ってこい」「グリーンカードを見せろ」のように特定の書類を指定することはできません。USCISはこれを違法な「書類要求(document abuse)」としています。
EADはList Aに当たる書類の1つで、就労資格を証明する代表的な書類です。ただしEADにはいくつもの種類があり、どの雇用主のもとで働けるか、どんな条件がつくかはカテゴリーによって違います。自分のEADが何に当たるかは、カード面のカテゴリー番号とUSCISの案内で確認してください。
永住権(グリーンカード)保持者は、その地位が就労資格を兼ねます。就労ビザで来ている人も同様に働けますが、「ビザがあるから働ける」というのは正確ではありません。実際に働けるかどうかは、パスポートに貼られたビザのスタンプでは決まりません。まず見るのはI-94です。ここに記録された在留区分と有効期間、そして区分ごとに付く「どの雇用主で」「どの職種なら」という制限が、就労できる範囲を決めます。ビザのスタンプは入国のための書類で、滞在中の資格を示すものではない、と考えてください。
もうひとつ、勤務先がE-Verify(雇用主が政府のデータベースで就労資格を電子照合する制度。参加は多くの州で任意だが、連邦の契約企業などには義務づけられる)に参加している場合は、I-9にSSNの記入が必要になります。ただしSSNをまだ受け取っていない人は、他の要件を満たしていれば番号を待つ間も働けます(届いたらSection 1に書き足します)。参加しているかどうかは採用時に雇用主へ聞けます。
運用が変わっている点があります。
- 自動延長の扱い:DHSの暫定最終規則により、2025年10月30日以降に出した更新申請(Form I-765)は、大多数のカテゴリーで審査中の自動延長を受けられなくなりました(同日より前に適法に出願していた分は対象外)。以前は最長540日まで自動で延びていた枠です。「法律による延長」と「TPS関連の就労書類について官報(Federal Register)で告示される延長」など、対象外となる例外も残っています。対象かどうかは、更新申請を出した日と、I-765に書いたカテゴリーコードの両方で決まります。手元の申請書の控えで出願日とコードを確認し、その番号でUSCISの現行の案内を引いてください。更新中に就労を続けられるかが変わるので、更新を出す前に見ておく項目です。
- 有効期限:2025年12月5日以降、EADの最長有効期間が5年から18か月に短縮されました。ただし対象は次の6区分だけで、駐在や就労ビザに伴うEADは入っていません。
対象の6区分は次のとおりです。
- 難民として入国した人
- 庇護を認められた人
- 送還停止・退去強制の停止を認められた人
- 庇護または退去強制の停止を申請中の人
- INA 245に基づく地位調整(I-485)を申請中の人
- NACARA等による退去強制の取消・救済を申請中の人
発行済みのEADは、カード記載の有効期限までそのまま有効です。自分の区分が当たるかは、I-765のカテゴリーコードとUSCISの現行の案内で確認してください。
変更日・対象カテゴリー・例外の範囲は、この記事の要約に頼らずUSCISの現行の案内で確認してください。期限が切れると働けない状態につながります。EADで働いている人は、自分の資格と有効期限を公式情報または移民専門の弁護士に確認したうえで、期限の数か月前から更新の段取りを始めてください。
ビザや在留資格の具体的な手続きは一人ずつ事情が違い、法律の領域です。この記事は働き始めの実務を整理したもので、資格そのものの判断は移民専門の弁護士や大使館・USCIS公式で確認してください。
まず動く順番
- 働ける資格があるかを最初に確認(GC・就労ビザ・EAD。EADなら期限も)
- アメリカ式レジュメを1枚作る(写真・年齢なし、逆時系列、スキルを前に)
- 求人はIndeedやホテル各社の採用ページで(ベガスは大手ホテルの直接採用が厚い)
- チップ職なら「$12+チップ」で総支給額の目安を立てる(手取りは、ここから税や控除を引いた額です)
資格の壁さえクリアできれば、ベガスは日本語話者にも働き口の見つけやすい街です。書類の作法を現地流に合わせるだけで、通過率はぐっと上がります。
次回は少し肩の力を抜いて、ストリップとその周辺の高級日本食を巡ります。鉄板の名店から、予約必須のおまかせまで。ハレの日に使える一軒を探しに行きます。
※この記事は一般的な情報提供です。 個別の医療・法律・税務・移民・保険・金融に関する助言ではありません。制度・料金・要件は変わることがあり、実際の手続きや判断の前に、医師・弁護士・CPA(会計士)・各公式窓口など専門家にご確認ください。