生活実用Practical living
ラスベガスで車なし生活はできるか——バス代$65と、夏の8分Can you live in Las Vegas without a car? — a $65 monthly pass, and eight minutes of walking in summer
最終更新: 2026年7月9日 | 最終確認: 2026年7月9日 | YO-MIDOKORO編集部 | 約9分

30日パスは$65。数字だけ見ればニューヨークより安い。それでも、車なしを続けられるかどうかは運賃では決まりません。効いてくるのは、バス停までの8分の徒歩と、40℃を超える午後です。成立する条件と、成立しにくい場所を分けます。
「ラスベガスは車社会」と聞いて、それでも一度は考えます。車がなくても暮らせないだろうか。
車の維持費は安くありません。保険、登録、ガソリン、修理。渡米直後で信用履歴(クレジットスコア)がなければ、ローンの金利も高くつきます。
答えを先に言います。できます。ただし、住む場所を先に決められる人だけです。
運賃は安い
RTC南ネバダの運賃は、2026年7月時点で以下のとおりです。
住宅路線(Residential Routes)
| 券種 | 通常 | 割引運賃 |
|---|---|---|
| 1回乗車 | $2 | $1 |
| 2時間パス | $3 | $1.50 |
| 24時間パス | $5 | $2.50 |
| 15日パス | $34 | $17 |
| 30日パス | $65 | $32.50 |
ストリップ・全線(Strip and All Access/Deuce)
| 券種 | 通常 | 割引運賃 |
|---|---|---|
| 1回乗車 | $4 | $2 |
| 2時間パス | $6 | $3 |
| 24時間パス | $8 | $4 |
| 3日パス | $20 | $10 |
なお、ストリップを走っていた急行SDX(Strip & Downtown Express)は、コロナ禍の減収に伴うサービス見直しで、2020年10月4日のダイヤ改定で廃止されました。ストリップの公共交通はDeuce(24時間運行)が軸になります。
割引運賃の対象は、6〜17歳、60歳以上、障害のある方、メディケア該当者など。5歳以下は保護者など付き添いの大人がいれば無料です。
そして紛らわしいところを1つ。RTC公式の現行「Fares & Passes」ページは "All passes are valid on all routes."(すべてのパスは全路線で有効) と書いています。つまり住宅路線用の安いパスでもDeuceに乗れます。ただし訪問者については同じページに "Visitors are required to pay Strip and All Access fares."(訪問者はStrip and All Accessの運賃を払う必要がある) とあります。一方、RTCの旧モバイル運賃ページ(geoFares.html)には、いまも "All residential passes are valid on Strip & Downtown Express and Deuce on the Strip with a local I.D." という古い書き方が残っていて、廃止済みのSDXの名前もそのまま載っています。こちらは更新されていない旧ページなので、現行ページのほうを見てください。車内や券売機で買うときは釣り銭が出ないので、ちょうどの額を用意してください。
30日パスは$65。年間$780です。車を持てば、保険だけで年に$1,000を超えることも珍しくありません。運賃の面で言えば、バスは圧倒的に安い。
それでも、運賃だけでは決まらない
問題は運賃ではありません。
距離です。 ラスベガス・バレーは南北・東西とも車で40分の広がりがあります。碁盤の目に敷かれた大通りにバスは走っていますが、そこから住宅街の奥までは自分の足です。アパートの玄関から一番近いバス停まで徒歩8分、というのはごく普通です。
そして、その8分が問題になる季節がある。6月から9月の午後は40℃を超えます。日陰はなく、バス停には屋根のないものも多い。買い物袋を提げて、子どもの手を引いて、その8分を歩けるか。ここが車なし生活の実際の分岐点です。
夏の危険については別記事に詳しく書きました → ラスベガスの夏を生き延びる
車なしが「成立する」条件
次の3つが揃えば、車なし生活は現実的です。
乗り換えが1回入ると、片道が一気に60〜90分になります。
ラスベガスは食品宅配(Instacart、Weeeなど)が発達しています。重い米・水は宅配、生鮮は徒歩、という分担なら回ります。
CCSDのスクールバスは、住所と学校の距離によって対象が決まります。習い事の送迎が始まると、車なしは一気に苦しくなります。
- 職場(または学校)が、バス1本または徒歩圏にある
- 食料品店が徒歩15分以内、または宅配で足りる
- 子どもがいない、または学区のスクールバスが使える
成立しやすいエリア:ストリップ沿い、ダウンタウン、UNLV周辺、Spring Mountain(チャイナタウン)沿い。バスの本数が多く、生活に必要な店が徒歩圏にあります。Deuce(ストリップとダウンタウンを結ぶ路線)は午前7時–翌午前1時がおおむね10〜15分間隔、深夜帯(午前1時–7時)はおおむね20分間隔です。
成立しにくい傾向のエリア:Summerlin、ヘンダーソン、Anthem、Centennial Hills。郊外の住宅地は、そもそも車を前提に設計されています。ただしこれらは範囲が広く、同じ市内でも路線沿いかどうかで条件がまるで違います。エリア名はあくまで目安です。住もうとしている住所と職場の住所で、最寄り停留所と乗り換え回数を調べてください。日本人世帯が住みたがるエリアと、車なしが成立しやすいエリアが重なりにくいのは確かです。
エリアの性格は 日本人が住みやすいエリア比較 を参照してください。
現実的な着地点は「世帯に1台」
多くの日本人世帯が落ち着くのは、車ゼロでも2台でもなく、1台です。
- 通勤する人が車を使う
- もう1人はバス+宅配+Uber/Lyftで、週に数回の用事をまとめる
- 週末に1台で買い出しに行く
Uber/Lyftを「毎日の足」にすると高くつきますが、週に2〜3回の保険として使うなら、2台目の維持費よりはるかに安く収まります。
渡米直後の3か月だけ車なし、という選択
これは検討する価値があります。到着直後は、SSNが届いていない、クレジットスコアがない、運転免許もまだ——という状態です。この時期に急いで車を買うと、金利でも保険料でも損をします。
到着直後をバス+Uber+宅配で乗り切り、その間にSSN・免許・銀行口座の手続きを進める。どれがいつ揃うかは人によって違うので、期間を決め打ちする必要はありません。必要な書類と、待った場合の金利・保険料の差を比べてから、買う時期を決める。急がなくていい買い物を、急がされない状態で選べます。
手続きの順番は 転入手続きの公式チェックリスト、車と保険は ラスベガスで車を買う にまとめてあります。
乗る前に知っておくこと
- 車内での支払いは現金なら釣り銭が出ません。ぴったりの額を用意します
- 公式アプリ rideRTC でパスを買えます。Visa/Mastercardのタッチ決済、スマホのウォレットでの1回乗車も可
- 現行の公式ページは「すべてのパスは全路線で有効」。住宅路線パスでDeuceにも乗れます。ただし訪問者はStrip and All Accessの運賃を。買う前に、自分に必要な運賃区分を確認を
- 運賃は改定されることがあります。長期パスを買う前に公式ページで確認してください
編集メモ:運賃はRTC南ネバダの公式ページとRTC公式モバイル運賃ページで2026年7月に確認し、2026年7月28日に再確認しました。RTCは運賃・パスの改定を検討することがあり、金額は変わりえます。バス停までの徒歩時間、乗り換え時の所要時間は編集部の一般的な観察であり、実測データではありません。2026年8月13日に、住宅路線パスとSDXの記述を筆者自身が当て直しました。RTC公式「Fares & Passes」(rtcsnv.com/ways-to-travel/fares-passes/)は概要と「Residential Routes」の両方に "All passes are valid on all routes." と書いており、ローカルIDを条件とする記載はありません。訪問者については同ページに "Visitors are required to pay Strip and All Access fares." とあります。以前この記事が引いていたRTC旧モバイル運賃ページ(rtcws.rtcsnv.com/mobile/geoFares.html)は同日時点でも生きていて "All residential passes are valid on Strip & Downtown Express and Deuce on the Strip with a local I.D." と、廃止済みのSDXを含む古い記述を残しています。RTC内で食い違うため、現行の本体ページを本線とし、旧ページが古い旨を本文に注記しました。SDXの廃止は、RTC公式ニュース「Community input key to adjusted transit service changes scheduled for Oct. 4」(2020年9月・rtcsnv.com/news/)の "The RTC will move forward with the following changes to save $9 million annually: eliminating the Westcliff Airport Express (WAX) and the Strip & Downtown Express (SDX)" で確認=廃止は2020年10月4日のダイヤ改定によるもので、「現在運休中」ではなく廃止と表記しています。あわせて同日、RTC「Schedules & Maps」の路線一覧で「Strip & Downtown Routes」にDeuceとDowntown Loopしか無く、SDXが現行路線に存在しないことも確認しました。Deuceの運行間隔(午前7時–翌午前1時はおおむね10〜15分、深夜帯の午前1時–7時はおおむね20分)は、RTC公式の路線PDF(rtcws.rtcsnv.com/routepdf/deuce.pdf)の記載によります。Visa/Mastercardのタッチ決済とモバイルウォレットでの単回乗車は、RTC公式ニュース「Tap to pay, and ride away」で確認しました。
※この記事は一般的な情報提供です。 制度・料金・要件は変わることがあり、実際の契約や判断の前に、各公式窓口や専門家にご確認ください。